【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
そのためにはまず知識をつけなければと考えながら歩いていた時だった。
中庭にある真っ白なガゼボ。
そこに見えたのはアンリエッタの姿だった。
こちら側からは背中しか見えないのだが、彼女の後ろ姿はどこか悲しげに見えるのは気のせいだろうか。
ヴァネッサはアンリエッタが部屋に来てくれた時に、何かを言おうとしてくれていた。
そのことが気になり彼女に声を掛ける。
「アンリエッタ……?」
「……ッ!?」
アンリエッタは声こそ出さなかったものの大きく肩を揺らして振り返る。
(最初は寝ぼけていたけれど、あまり馴れ馴れしくしてはダメよね……!)
それからヴァネッサの姿を見て、立ち上がるとガゼボから出てこちらに駆け寄ってくる。
「大丈夫……? もう体はいいの?」
「散歩ができるまで回復でしましたわ。ギルベルト様のおかげです」
「そ、そう! よかったわね」
ヴァネッサがそう言って微笑むと、アンリエッタは嬉しそうにしている。
しかしすぐに表情を取り繕うと、ホワイトゴールドの長い髪を手で払った後にこちらを見上げた。