【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「ん~~~っ!」


口内が甘い幸せに満たされていくではないか。
ヴァネッサはクッキーを持っている反対側の手で頬を押さえた。
クッキーを幸せそうに食べているヴァネッサを見て、アンリエッタは驚きつつもヴァネッサと同じクッキーを口にする。
それから不思議そうな顔でクッキーとヴァネッサを交互に見ていた。
恐らくクッキーを食べただけで大喜びするヴァネッサが不思議なのだろう。


「そんなにこのクッキーが美味しいのかしら」

「こんなに美味しいものを食べれるなんて幸せすぎて……」


また一口、クッキーを口にするとお腹がいっぱいになる感覚。
ヴァネッサは小さな頃から満足な食事をしたことがないため、すぐにお腹が膨れててしまう。
これ以上食べてしまえば、胃もたれや吐き戻してしまいそうだ。

(甘くて幸せだけど、食べ過ぎは危険ね……! 気をつけないと)

胃にほんのりと痛みを感じつつ、ヴァネッサは紅茶を飲み込む。
暫く幸せに浸っていたが、アンリエッタが「マドレーヌはどう?」と、クッキーと同じようにチョコレートが練り込まれたマドレーヌをすすめてくれた。
けれど、ヴァネッサはもう大丈夫だと意味を込めて首を横に振る。
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