【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
『アンリエッタ、来てくれてありがとう』


アンリエッタはヴァネッサの手を取ると、祈るように両手で握りしめた。
彼女の手はひんやりと冷たくて気持ちいいが、その手は微かに震えているような気がした。


『早く治しなさいよねっ、わたくしを心配させないでちょうだい!』


アンリエッタは勢いよく顔を上げながらそう言った。
高圧的な言い方ではあるが、悲しげな表情からヴァネッサにはアンリエッタの気持ちが伝わっていた。


『もちろんよ。わたしはアンリエッタと過ごす時間が大好きだもの』

『わ、わたくしだってヴァネッサと一緒に過ごしたいわ……!』

『ありがとう、アンリエッタ』


ヴァネッサが微笑むとアンリエッタは安心したのか『ゆっくり休んでね』と言って部屋から出て行った。
どんなに言い方がキツくても最後にはちゃんと甘えてくれるところが可愛らしい。

(今日はクッキーはお預けね……)

クッキーが食べられずに落ち込んでいたヴァネッサ。
すると先ほどまでアンリエッタが座っていた椅子にギルベルトが腰掛ける。
手慣れた様子でウォーターポットを持つとコップに水を注いだ。
ヴァネッサに水が入ったコップと薬を手渡す。
ヴァネッサは『ありがとうございます』とお礼を言うと……。
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