【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
『ヴァネッサ、すまない』
『……?』
薬の調合が失敗してしまったのだろうかと考えていたが、そんな薬をギルベルトがヴァネッサに渡すわけがない。
ギルベルトが何に謝っているのかがわからずにヴァネッサは彼に問いかける。
『どういうことですか?』
『……アンリエッタのことだ。迷惑をかけてしまっているだろう?』
『……!』
ギルベルトはヴァネッサがアンリエッタに振り回されていると思ったのだろうか。
でも実際は逆でアンリエッタに世話になっているのはヴァネッサの方だ。
ヴァネッサはギルベルトの言葉を否定するように首を横に振る。
『わたしがアンリエッタに頼んでいるのですよ。迷惑を掛けているのはわたしの方ですから』
『……!』
『アンリエッタはとても優しくて可愛くて素敵な女の子なんです。色々なことをたくさん教えしてくれる……こんなに楽しい時間は初めてです』
ヴァネッサは手を合わせながらそう語る。
外でお菓子を食べて女の子とおしゃべりができる夢のような時間は絶対に手放したくはない。
ギルベルトは『……そうか』と頷いてからヴァネッサに薬を飲むように促す。