【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
薬を飲み込んだヴァネッサは苦味に眉を寄せて、唇をモゴモゴと動かしていた。
なんとかゴクリと薬を飲み込むが、あまりの苦さに顔を歪めていた。
すると唇に触れる固い感触。
口内に押し込まれるものに、また薬かと思ったが舌に広がる甘みと固いものが歯に当たってコロリと鳴る。

(もしかして飴……? とっても甘いわ)

キラキラと目を輝かせたヴァネッサは頬を押さえながら感激していた。
飴の甘みが薬の苦味を一瞬で消してくれた。
コロコロと飴を口の中で転がしながら幸せを噛み締めていた。


『ははっ……』

『ギルベルト様?』


いきなり笑い出したギルベルトに困惑するヴァネッサ。
飴を口に含みながらどうしたのかと問いかけようと迷っていると……。


『報告には受けていたが、君は本当に嬉しそうに甘いものを食べるんだな』

『え……?』

『アンリエッタの気持ちがよくわかる』


どんな気持ちなのかはわからないが、ギルベルトが笑った顔を初めて見たためヴァネッサも場の空気に合わせるようにヘラリと笑う。


『食事の量も増えたようで安心した。肌もすっかりよくなったな。精神状態もよさそうだ』

『はい! すべてギルベルト様とアンリエッタのおかげです。いくら感謝しても足りません』
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