【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
アンリエッタの話を聞けば、ギルベルトの行動の意味がわかる。
今まで不思議に思っていたことがすべて腑に落ちたような気がした。
ギルベルトは自分でしか救えない女性たちを救っているのだ。


「お母様は体が弱いのに無理をしてでもわたくしを産んだんですって……だけどお父様は後悔しているって、わたくしは知っているの」


アンリエッタは膝で手のひらをギュッと握る。
声が震えていて、こちらまで胸が苦しくなってしまう。


「だってわたくしを見る目が時折、悲しそうだもの」

「……アンリエッタ」

「だから……っ、わたくしなんて……!」


アンリエッタの瞳が徐々に潤んでいくのを見て、ヴァネッサはアンリエッタを抱きしめた。
彼女はギルベルトが悲しい思いをすることがつらいのだろう。


「そんなことないわ。アンリエッタはとてもいい子だし、ギルベルト様もアンリエッタのことを気にかけているわ」

「……ヴァネッサ、ありがとう」


アンリエッタはヴァネッサにバレないように涙をグイッと手のひらで拭った。
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