愛おしい、君との週末配信✩.*˚【BL】

3*君とふたりで買い物がしたくて

 写真集イベントの次の日の昼休み。永瀬が桜塚たちに配信のことを伝えたらしく、三人が僕の席に集まってきた。

「ふたりも加わってくれるなんて、感極まる」
「ふたりがいれば、余裕でチャンネル登録一万人行くよな。よし、今日は放課後永瀬んちで会議だ!」

 山田と桜塚がそれぞれ言う。

 やっぱり面倒くさい。今更だけど断ろうかな。

「やっぱり僕……」
「風花ちゃん、きっとすごく楽しみにしているよね」

 僕の言葉にかぶさってくるように永瀬は言った。なんか、風花が人質にとられている気分だ。そんな言葉を聞くとこれ以上何も言えないじゃないか。

そして放課後再び永瀬の家へ行くことになった。




 永瀬の部屋に着く。全て来たくて来たわけではないが、今回で三回目だ。もう家に入るのは慣れてしまった。

 ふと棚にあるままの僕のビーズに目をやる。まだ飾ったままだ。なんだかんだで結局話が逸れていき、返してもらえなかった。返せと言った時の風景を思い出す。

『光に当てると透き通って、羽月みたいに綺麗な色だったから……』

「僕が綺麗な色だって?」
「……どうした羽月」

 しかめっ面だと思われる僕の顔を見て、永瀬がふふっと微笑んできた。

「いや、なんでもない。このビーズ、くれてやるよ」
「いいのか? ありがとうな。じゃあ、お礼に」と、寝室から何かを持って戻ってきた。

「これは、なんだ?」
「俺のサイン付きポスターだ。あげるよ」

 青空を背景に真っ白い衣装を着て爽やかにアイドルスマイルしている永瀬が映っていた。

「いや、いらない」
「いらなかったら風花ちゃんにあげて?」

 断ろうと思ったけれど、やっぱり風花の名前が出てきたら断る訳にはいかない。

「あ、ありがとう」

 受け取るのは気が進まないが、受けとった。そして大きいそのポスターをくるくると筒状にした。

「おい、会議始めるぞ!」

 桜塚の声を合図に、桜塚たちが撮影場所として使っていると思われる部屋に移動した。会議なんて……何を会議するんだろうか。面倒くさいから、必要最低限のことだけ言葉にして、すんっとしていよう。

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