愛おしい、君との週末配信✩.*˚【BL】
 永瀬翔の目の前に立つ。目が合うと微笑まれた。永瀬に微笑まれたのが初めてだからか、正体がバレないか不安だからか……。謎に心臓の音がバクバクして乱れ始めた。

「今日は来てくれてありがとうございます」と、永瀬翔は最初のひとことを仕掛けてくる。声を出すと僕の正体がバレる可能性が高くなるから、下を向き黙って頷いた。永瀬からの強めな視線がチクチクささってきたけれど無言を貫いた。

「写真集です」

 写真集を僕はすっと受け取った。そしてツーショットチェキも撮らなければならない。断っても、いいかな?

 いや、ダメだ。昨日、目を輝かせた風花に「私とお揃いのポーズでかけるんとツーショットチェキを撮ってね!」と言われていた。しぶしぶ永瀬の横に誘導され従った。

 永瀬翔は身長が高くすらっとしている。僕たちの身長差が浮き彫りになる。水色の半袖シャツに白いパンツ。まさにアオハルの王子のようで今日の永瀬はいつもに増して爽やかだ。それに比べると僕は目立たぬようにを第一優先にした全身黒ずくめの男。まるで永瀬の影のようだ。

 同じポーズということはハートを作らなければならないのか。よりによって永瀬翔と……。僕はしぶしぶ無言でハートの半分を手で作った。合わせて永瀬も爽やかな顔でもう半分のハートを手で作る。それらが合わさりひとつのハートは完成された。ハートになった瞬間に永瀬の指が僕の指に触れ、指先に電撃が走った。そして謎に心臓がドキリとする。

――なんなんだこの状況は。まさかハートを永瀬と作ることになるとは思わなかった。

 スタッフからチェキを受けとると逃げるようにして風花のところへ行き、外に出た。

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