罪深く、私を奪って。
まるで何キロも走った後みたいに、呼吸は乱れ、全身疲れ切っていた。
恐る恐る覗いた郵便受けの中には、茶色の封筒。
やめればいいのに。
中なんて確認せずに、そのまま捨ててしまえばいいのに。
そう思いながら、私の震える手は勝手にその封筒を開けていた。
封筒の中身は想像通り。
数枚の写真。
窓からこぼれる月明かりしかない薄暗い室内では、その写真がよく見えなくて、玄関に立ったまま手探りで廊下の電気をつけた。
パチンと音をたてて灯ったダウンライト。
その柔らかいオレンジ色の光に照らされた、私の手の中の写真。
「…………ッ!」
そこには、私と石井さんの姿があった。
アパートの前で封筒の中身を見て口を押える私。
乱暴に写真を拾う石井さん。
肩を抱かれるようにして、部屋の中に入る二人の姿。
一体誰が……?
誰かがこの家の前で、私が帰って来るのをカメラを持って待っていたんだ。
私に悪意を持つ誰かが、どこかに隠れて。
昨日も今日も、私がアパートに帰ってくる所をずっと見られていたんだ……。
恐怖で全身が粟立った。
「どうして……?」
小学生の時。
周りの女の子達が、突然私を見る目が変わったあの時の事を思い出した。

昨日までは楽しく笑い合っていたはずなのに。
どうして?
私がなにかした?
なにか怒らせるような事をした?
教えてよ。
そうやって睨むだけじゃわからないよ。
一方的に悪意を向けられる恐怖。
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