罪深く、私を奪って。
最初にこの車の助手席に乗った時に、私は確かに聞いたのに。
どこかで会った事ありませんか? って。
『会社で会ってる』なんて言ってはぐらかしたのは石井さんだ。
あの時最初から、同級生だったって教えてくれたらよかったのに。
「俺はすぐわかったよ。入社試験でひと目見た時から、詩織だって」
『詩織』
はじめてその声で呼ばれた自分の名前に、心臓が過剰に反応した。
「それなのに、俺の事なんてすっかり忘れてるお前を見てイライラした。
ものすごく」
ハンドルを握り、前を向いたままそう言った石井さん。
その声に含まれた苛立ちが色っぽくて、ぞくぞくした。
どうしよう。
どうしよう。
私、ものすごくこの人が好きだ。
ハンドルを握る手に、煙草を咥えた唇に、ため息をつく仕草に、運転の合間にちらりとこちらを睨む瞳に。
些細な事すべてに、いちいち思い知らされる。
どうしようもないくらい、私はこの人の事が好きだ。
「だって、石井さんが私を嫌いっていうから……」
「あ?」
短くなった煙草を車に備え付けられた灰皿に押し付けながら、石井さんは不機嫌そうに眉を上げた。
「小学校の時クラスのみんなの前で言ったじゃないですか。私の事が嫌いだって」
その時の私が、どれだけ傷ついたのか今なら容易に思い出せる。
幼い初恋を全て忘れてしまおうとするほど、それは悲しくてショックな一言だった。
「馬鹿か」
どこかで会った事ありませんか? って。
『会社で会ってる』なんて言ってはぐらかしたのは石井さんだ。
あの時最初から、同級生だったって教えてくれたらよかったのに。
「俺はすぐわかったよ。入社試験でひと目見た時から、詩織だって」
『詩織』
はじめてその声で呼ばれた自分の名前に、心臓が過剰に反応した。
「それなのに、俺の事なんてすっかり忘れてるお前を見てイライラした。
ものすごく」
ハンドルを握り、前を向いたままそう言った石井さん。
その声に含まれた苛立ちが色っぽくて、ぞくぞくした。
どうしよう。
どうしよう。
私、ものすごくこの人が好きだ。
ハンドルを握る手に、煙草を咥えた唇に、ため息をつく仕草に、運転の合間にちらりとこちらを睨む瞳に。
些細な事すべてに、いちいち思い知らされる。
どうしようもないくらい、私はこの人の事が好きだ。
「だって、石井さんが私を嫌いっていうから……」
「あ?」
短くなった煙草を車に備え付けられた灰皿に押し付けながら、石井さんは不機嫌そうに眉を上げた。
「小学校の時クラスのみんなの前で言ったじゃないですか。私の事が嫌いだって」
その時の私が、どれだけ傷ついたのか今なら容易に思い出せる。
幼い初恋を全て忘れてしまおうとするほど、それは悲しくてショックな一言だった。
「馬鹿か」