罪深く、私を奪って。
「ごめんねー! 今日詩織は私と約束してるんだよね」
突然背後から聞こえてきた明るい声に驚いて振り向くと、そこには営業部の亜紀さんがにっこり笑って立っていた。
突然現れた亜紀さんに、沼田さんは目を丸くした後、メガネを指で押し上げながら確認するように私を見る。
「野村さん、そうなんですか?」
「ごめんなさい、そうなんです。今日は亜紀さんと先に約束をしていて」
諦めきれないように私の顔を覗き込む彼に向かって丁寧に頭を下げると、沼田さんは少し不満そうな顔をしながらも、
「わかりました」
そう静かに言った。
小さく会釈をして去って行く沼田さんの後姿を、亜紀さんは苦笑いをしながら眺める。
そして受付のカウンターの中に座る私に向かって、大袈裟にため息をついて見せた。
「ありがとうございます亜紀さん」
本当は約束なんてしてなかったのに。
断る口実を探して困っていた私を見かねて、声をかけてくれたんだろう。
そんな亜紀さんの気遣いに感謝しながら頭を下げると、彼女はさらにもう一度大きなため息をついてみせた。
「詩織も誘われて困るくらいなら、はっきり迷惑だって断ればいいのに」
さっきまでの私の優柔不断な態度に呆れてるんだろう。
私の顔を見ながら、どうしてはっきり言えないのか理解できないという風に首を傾げた。
「……そうなんですけどね」
そう、迷惑ならきちんと自分で断ればいいのに。
突然背後から聞こえてきた明るい声に驚いて振り向くと、そこには営業部の亜紀さんがにっこり笑って立っていた。
突然現れた亜紀さんに、沼田さんは目を丸くした後、メガネを指で押し上げながら確認するように私を見る。
「野村さん、そうなんですか?」
「ごめんなさい、そうなんです。今日は亜紀さんと先に約束をしていて」
諦めきれないように私の顔を覗き込む彼に向かって丁寧に頭を下げると、沼田さんは少し不満そうな顔をしながらも、
「わかりました」
そう静かに言った。
小さく会釈をして去って行く沼田さんの後姿を、亜紀さんは苦笑いをしながら眺める。
そして受付のカウンターの中に座る私に向かって、大袈裟にため息をついて見せた。
「ありがとうございます亜紀さん」
本当は約束なんてしてなかったのに。
断る口実を探して困っていた私を見かねて、声をかけてくれたんだろう。
そんな亜紀さんの気遣いに感謝しながら頭を下げると、彼女はさらにもう一度大きなため息をついてみせた。
「詩織も誘われて困るくらいなら、はっきり迷惑だって断ればいいのに」
さっきまでの私の優柔不断な態度に呆れてるんだろう。
私の顔を見ながら、どうしてはっきり言えないのか理解できないという風に首を傾げた。
「……そうなんですけどね」
そう、迷惑ならきちんと自分で断ればいいのに。