罪深く、私を奪って。
すごくすごく、もやもやする。
胸に込み上げる言いようのない居心地の悪さ。
休憩室から逃げ出すように早足で歩きながら、さっきの二人の様子を思い出す。
付箋がいっぱい貼られた結婚情報を覗く二人。
じゃれるように石井さんの肩を叩く亜紀さん。
そっか、あの二人は結婚するんだ……。
そう思っても気分は沈む一方で、全く祝福する気持ちにはなれなかった。
「休憩室に石井さんいたね! 今日もかっこよかった~」
「でもさぁ、営業部の女の人と仲良さそうにしてたよね。もしかして付き合ってるのかなぁ?」
通路を歩いていると、後ろから来た女子社員ふたりの楽し気な声が聞こえた。
「えー?」
「だって石井さんが女の人と楽しそうにしゃべってるのって、珍しくない?」
「あぁ、あのふたり同じ大学だったらしいよ。営業の亜紀さんって人が一年先輩だったって」
「ふーん。そうなんだ」
そんな会話をぼんやりと聞きながら、亜紀さんの笑顔を思い出す。
亜紀さん、きっと石井さんの本性を知らないんだ。
石井さんが、彼女がいるのに平気で他の女の子にキスするような酷い男だなんて知ったら、亜紀さんだって絶対許せないはず。
……でも。
結婚間近にそんな事を言って、ふたりが別れてしまったら?
私が何も言わなければ、ふたりはそのまま結婚して幸せになるかもしれないのに。
私の一言で、ふたりの結婚を壊してしまうかもしれない。
胸に込み上げる言いようのない居心地の悪さ。
休憩室から逃げ出すように早足で歩きながら、さっきの二人の様子を思い出す。
付箋がいっぱい貼られた結婚情報を覗く二人。
じゃれるように石井さんの肩を叩く亜紀さん。
そっか、あの二人は結婚するんだ……。
そう思っても気分は沈む一方で、全く祝福する気持ちにはなれなかった。
「休憩室に石井さんいたね! 今日もかっこよかった~」
「でもさぁ、営業部の女の人と仲良さそうにしてたよね。もしかして付き合ってるのかなぁ?」
通路を歩いていると、後ろから来た女子社員ふたりの楽し気な声が聞こえた。
「えー?」
「だって石井さんが女の人と楽しそうにしゃべってるのって、珍しくない?」
「あぁ、あのふたり同じ大学だったらしいよ。営業の亜紀さんって人が一年先輩だったって」
「ふーん。そうなんだ」
そんな会話をぼんやりと聞きながら、亜紀さんの笑顔を思い出す。
亜紀さん、きっと石井さんの本性を知らないんだ。
石井さんが、彼女がいるのに平気で他の女の子にキスするような酷い男だなんて知ったら、亜紀さんだって絶対許せないはず。
……でも。
結婚間近にそんな事を言って、ふたりが別れてしまったら?
私が何も言わなければ、ふたりはそのまま結婚して幸せになるかもしれないのに。
私の一言で、ふたりの結婚を壊してしまうかもしれない。