罪深く、私を奪って。
まるで猛獣の檻の中に閉じ込められたような息苦しさ。
……最悪。
こんな狭いエレベーターの中でふたりきりなんて。
今はこの人の顔も見たくないのに。
「ふーん、間違っただけね」
彼はそれ以上追及せずに、私を見て小さく笑った。
開くボタンと閉じるボタンを間違っただなんて見え見えの嘘、本当は見抜いているクセに。
どうせなら怒ってくれたらいいのに。
そうやって、その目で見つめられると、心の奥底まで見透かされているような気がして落ち着かない。
なんでこの人と一緒にいるとこんなに胸が騒ぐんだろう。
別に、彼に対してやましい事なんてひとつもないのに。
むしろ、やましいのは彼の方じゃない。
なんで私が、こんなに動揺しなきゃいけないの?
そう思うと、やけに腹が立ってきた。
小さく咳払いをして、エレベーター上部についている階数表示を見ながら口を開いた。
「結婚するんですね」
「……は?」
「さっき、見ました。休憩室で」
私がそうぶっきらぼうに言うと、
「ああ、亜紀?」
石井さんは納得したように笑い、私の方を振り返った。
「さっき俺と亜紀が一緒にいる所、すごい眼で睨んでただろ」
「……え?」
「なんだ。無自覚?」
いや、睨んでなんていないよ。
確かにふたりを見てはいたけど……。
「俺と亜紀が話してるのを見て、嫉妬してんのかと思った」
「……ッ!!」
誰が嫉妬なんか!
彼の言葉に一気に体温が上がる。
……最悪。
こんな狭いエレベーターの中でふたりきりなんて。
今はこの人の顔も見たくないのに。
「ふーん、間違っただけね」
彼はそれ以上追及せずに、私を見て小さく笑った。
開くボタンと閉じるボタンを間違っただなんて見え見えの嘘、本当は見抜いているクセに。
どうせなら怒ってくれたらいいのに。
そうやって、その目で見つめられると、心の奥底まで見透かされているような気がして落ち着かない。
なんでこの人と一緒にいるとこんなに胸が騒ぐんだろう。
別に、彼に対してやましい事なんてひとつもないのに。
むしろ、やましいのは彼の方じゃない。
なんで私が、こんなに動揺しなきゃいけないの?
そう思うと、やけに腹が立ってきた。
小さく咳払いをして、エレベーター上部についている階数表示を見ながら口を開いた。
「結婚するんですね」
「……は?」
「さっき、見ました。休憩室で」
私がそうぶっきらぼうに言うと、
「ああ、亜紀?」
石井さんは納得したように笑い、私の方を振り返った。
「さっき俺と亜紀が一緒にいる所、すごい眼で睨んでただろ」
「……え?」
「なんだ。無自覚?」
いや、睨んでなんていないよ。
確かにふたりを見てはいたけど……。
「俺と亜紀が話してるのを見て、嫉妬してんのかと思った」
「……ッ!!」
誰が嫉妬なんか!
彼の言葉に一気に体温が上がる。