罪深く、私を奪って。
熱くなった頬は羞恥心でも、ましてや嫉妬心のせいでもない。
あんなに素敵な彼女と付き合って結婚を控えているのに、他の女と平気でキスしたりする、最低なこの男への怒りのせいだ。
「……ほんと、サイテー」
俯いて自分の足元を見ながら、ぎゅっと手のひらを握ってそうつぶやいた時、エレベーターが下降を止めた。
よかった。やっとついた。
ようやくこのふたりきりのエレベーターから解放される。
ほっと息を吐きながら、開きかけたドアに向かって一歩踏み出した時、
「そういう事は俯いたままじゃなく、本人の顔を見て言えよ」
石井さんが低い声がそう言って、バンと音を立ててエレベーターの操作盤のボタンを叩くように押した。
「え……?」
一度は開いたドアが、またゆっくりと閉まり始める。
驚いて彼の顔を見上げると、黒く冷たい瞳が私の事を見下ろしていた。
思わず彼から距離を取るように一歩後ずさる。
けれど、狭いエレベーターの中では後ずさったってすぐに行き止まり。
背中に触れた堅い鏡の感触に、軽く感じた絶望感。
「最低って、俺が?」
石井さんが微かに口角を上げ、意地悪に笑った。
だから、その目で私を見ないで。
すべて見透かされてるみたいで、落ち着かない。
今すぐその視線から逃げたくて、どうしようもなく胸が騒ぐ。
彼に見透かされて困る感情なんて、私の中には少しもないはずなのに。
あんなに素敵な彼女と付き合って結婚を控えているのに、他の女と平気でキスしたりする、最低なこの男への怒りのせいだ。
「……ほんと、サイテー」
俯いて自分の足元を見ながら、ぎゅっと手のひらを握ってそうつぶやいた時、エレベーターが下降を止めた。
よかった。やっとついた。
ようやくこのふたりきりのエレベーターから解放される。
ほっと息を吐きながら、開きかけたドアに向かって一歩踏み出した時、
「そういう事は俯いたままじゃなく、本人の顔を見て言えよ」
石井さんが低い声がそう言って、バンと音を立ててエレベーターの操作盤のボタンを叩くように押した。
「え……?」
一度は開いたドアが、またゆっくりと閉まり始める。
驚いて彼の顔を見上げると、黒く冷たい瞳が私の事を見下ろしていた。
思わず彼から距離を取るように一歩後ずさる。
けれど、狭いエレベーターの中では後ずさったってすぐに行き止まり。
背中に触れた堅い鏡の感触に、軽く感じた絶望感。
「最低って、俺が?」
石井さんが微かに口角を上げ、意地悪に笑った。
だから、その目で私を見ないで。
すべて見透かされてるみたいで、落ち着かない。
今すぐその視線から逃げたくて、どうしようもなく胸が騒ぐ。
彼に見透かされて困る感情なんて、私の中には少しもないはずなのに。