罪深く、私を奪って。
彼の言葉を無視して私はその目から顔を背ける。
「降りるんで、どけてください」
グッと喉に力を込めて、毅然とそう言ったはずなのに、私の口から出て来たのは、情けない程弱弱しい声。
これじゃまるで怯える鼠と、狩りを楽しむ猫。
狭い檻にふたりきり。
そんな事を一瞬でも思ってしまった自分が悔しくて、彼の後ろにある操作盤に強引に手を伸ばした。
けれど、私の指がボタンに届く前に、大きな手に捕まった。
石井さんは私の腕を掴むと、体ごと強引に引き寄せて、もう片方の手で私の後頭部を包む。
キス、される!?
こんな場所で……
そう思い、体を強張らせてギュッと目をつぶると、腕を掴んむ彼の手の感触がゆっくりと上に移動して、私の髪を優しく耳にかけた。
「……?」
右の耳朶に優しく触れる長い指。
不思議に思い恐る恐る目を開けると、すぐに私の体は解放された。
そして彼の背後でゆっくりとエレベーターのドアが開いていくのが見えた。
「昨日、落としてた」
石井さんは私を見下ろしてそう一言だけ言うと、開いたドアから出ていった。
思わずホッとして全身から力が抜ける。
まだドキドキとうるさい鼓動を整えようと、深呼吸を繰り返しながらエレベーターの鏡を振り返ると、さっきまで彼が触れていた耳朶に、小さくシンプルなダイヤのピアス。
……なんだ。
昨日私ピアス落としちゃってたんだ。
いつも身に着けてるから気が付かなかった。
なんだ。
「降りるんで、どけてください」
グッと喉に力を込めて、毅然とそう言ったはずなのに、私の口から出て来たのは、情けない程弱弱しい声。
これじゃまるで怯える鼠と、狩りを楽しむ猫。
狭い檻にふたりきり。
そんな事を一瞬でも思ってしまった自分が悔しくて、彼の後ろにある操作盤に強引に手を伸ばした。
けれど、私の指がボタンに届く前に、大きな手に捕まった。
石井さんは私の腕を掴むと、体ごと強引に引き寄せて、もう片方の手で私の後頭部を包む。
キス、される!?
こんな場所で……
そう思い、体を強張らせてギュッと目をつぶると、腕を掴んむ彼の手の感触がゆっくりと上に移動して、私の髪を優しく耳にかけた。
「……?」
右の耳朶に優しく触れる長い指。
不思議に思い恐る恐る目を開けると、すぐに私の体は解放された。
そして彼の背後でゆっくりとエレベーターのドアが開いていくのが見えた。
「昨日、落としてた」
石井さんは私を見下ろしてそう一言だけ言うと、開いたドアから出ていった。
思わずホッとして全身から力が抜ける。
まだドキドキとうるさい鼓動を整えようと、深呼吸を繰り返しながらエレベーターの鏡を振り返ると、さっきまで彼が触れていた耳朶に、小さくシンプルなダイヤのピアス。
……なんだ。
昨日私ピアス落としちゃってたんだ。
いつも身に着けてるから気が付かなかった。
なんだ。