不遇ヒロインに憧れるあまりに不遇ヒーローを助けたら、溺愛されました
そう、エリザベスは不遇ヒロイン小説を読むことを何よりの生きがいにしていた。
理不尽な理由により、家族から疎まれ、暴力を受け、虐待されながらも、健気なヒロインはただ黙って耐え忍ぶ。その純粋な心に憧れ……というよりも、エリザベスは不遇ヒロインになってみたかったのだ。
エリザベスはエクサード伯爵家の長女として産まれた。伯爵家といっても、縁戚には上位貴族の侯爵家、王族も含まれる由緒ある家柄だ。王族が降嫁したこともあるので、ぽっと出てきた成金貴族や、歴史の浅い貴族ではない。
父も王城勤め、叔父は学院長、宰相も大臣も、少なからず遠縁として繋がりを持つ。
そのせいか人格者が多い。
小説を読み耽るだけでも充分楽しいのだが、不遇ヒロインへの憧れから、妄想だけでは我慢できなくなりつつあった。
ある時は、試しに父に愛人を作ってみてはと薦めて見たら、この国が一夫一妻制であること、両親が政略結婚ではないこと、いかに二人が愛し合っているか、二人の出会い、馴れ初めから現在に至るまでの「愛の歴史」についてのレポート百枚提出を余儀なくされたという過去を持つ。
理不尽な理由により、家族から疎まれ、暴力を受け、虐待されながらも、健気なヒロインはただ黙って耐え忍ぶ。その純粋な心に憧れ……というよりも、エリザベスは不遇ヒロインになってみたかったのだ。
エリザベスはエクサード伯爵家の長女として産まれた。伯爵家といっても、縁戚には上位貴族の侯爵家、王族も含まれる由緒ある家柄だ。王族が降嫁したこともあるので、ぽっと出てきた成金貴族や、歴史の浅い貴族ではない。
父も王城勤め、叔父は学院長、宰相も大臣も、少なからず遠縁として繋がりを持つ。
そのせいか人格者が多い。
小説を読み耽るだけでも充分楽しいのだが、不遇ヒロインへの憧れから、妄想だけでは我慢できなくなりつつあった。
ある時は、試しに父に愛人を作ってみてはと薦めて見たら、この国が一夫一妻制であること、両親が政略結婚ではないこと、いかに二人が愛し合っているか、二人の出会い、馴れ初めから現在に至るまでの「愛の歴史」についてのレポート百枚提出を余儀なくされたという過去を持つ。