不遇ヒロインに憧れるあまりに不遇ヒーローを助けたら、溺愛されました

継母にいじめられたいという欲求を満たす為の苦渋の策だった。

またある時は弟のケビンに、これからはエリザベスの服やアクセサリーを黙って持ち去るように要求したこともある。

「姉さん、僕は男だからドレスなんて着れないよ。妹が欲しかったの？」と、なぜかケビンが落ち込んで、その原因がエリザベスだと知った両親からは、「心配しなくても妹はもうお腹の中にいるわ」と衝撃のカミングアウトされる始末。


（ちがう、ちがうの、そうじゃないの）

私物を勝手に持ち去るのは、同性でないと成り立たないのだと痛感したエリザベス。


そして、致命的な欠点があることに気づく。


それは━━。


「あなたたち何してるの！」

ぐふぐふと笑い声を漏らした後に、声を張り上げる。

不気味な笑い声と共に突如として現れたエリザベスを見て、悲鳴をあげつつ一斉に青年達は逃げ出して行った。エリザベスだと認知したかは不明。誰もいないと思っていた所に、不気味な笑い声が響いてきたのに驚いたのかもしれない。

この学園でエリザベスのことを知らない生徒はいない。学院長の姪であり、エクサード伯爵家の令嬢。