不遇ヒロインに憧れるあまりに不遇ヒーローを助けたら、溺愛されました
自覚した瞬間、エリザベスの胸がトクンと高鳴る。

不当な仕打ちを受ける場面にばかり気を取られて、肝心の恋愛の場面については深い思い入れがなかったエリザベスは困惑していた。

(この気持ちはどうしたらいいの?)

だって、ヒロインは最後には愛され必ず結ばれるもの。

どうやって想いを通じ合わせるのかなんて興味がなかった。両親の馴れ初めを聞いても、特別心が動かされることがなかった。

自分が誰かに惹かれるなんて思いもしなかったから。


(行かないで……)


通りすぎようとするレオナルドに心の中から訴えかけていた。


こんな怪しい行動をとる自分が告白したところで、受け入れられるはずがない。

フラれて惨めになるだけ。

それだけは嫌……だって、仮にも私はエクサード家の娘だから。

目を閉じてぎゅうっと親指を巻き込むように手を握りしめる。

通り過ぎて行く彼の姿を見てこれ以上虚しくならないように。

(フラれるくらいなら、最初からなかったことにするんだから)

もう、レオナルドを追いかけるのをやめようと心に誓ったエリザベスだったが、一瞬にしてその誓いはなかったことになる。

「え⁉︎」
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