Roadside moon
抜けきった明るい金色の髪。
耳たぶの大きな拡張型ピアス。
「…誰なの…」
昨夜一階にいたあの男の子たちの誰かだろうかと考えたがおそらく違う。
彼らの中に、ここまで派手な金髪の男の子はいなかったと、思う。
極めつけは
ベッドの足下に転がる“特攻服”。
(…“隊長”)
隊長、以前の文字は確認しなかった。
とりあえずは、この組織の上の方の人だということが分かった。十分だ。
(はじめましてなわけだ)
「…」
この空間でもうひとつだけ確かなことは
彼がおそらくは私の敵ではないだろう、ということ。
だからと言って危なくないとも言いきれないけれど。間違いなく不良なので。
「…ん、ぅ……」
「…ねえってば…」
先程の初撃で床に転がった枕を拾い、今度は顔面に向かって投げつける。
クリーンヒット。
「、ってー…」
ようやく瞼が開いた。
起こしたはいいが、何せ初対面なのでどうすることもできずに私が固まっていると、問題の張本人は
「…あ、おはよう」
「…」
我関せずと言わんばかりの爽やかな笑顔で、朝を告げる。
「…は?」
なんだ。
(……なんだ、この美少年)
「…朝飯、」
「へ?」
「食うかって、ロンが」
「…え?…あ、朝飯」
慌てて時計に目をやった。
時刻は午前九時を回っている。
「腹減ってないの」
「お腹は…減ってるけど」
「りょーかい」
「…」
(顔が良い…)
尋常ではないほどの明るさの髪だが、当の顔面はそれ以上の輝きである。
大きな瞳にはハイライトが散りばめられ
くるりと跳ね上がるまつ毛は怨めしいほど長い。
すっぴんであろうに、頬はほんのりと紅く
形のいい唇から、薄く白い息が漏れる。
つまり何が言いたいか、と言うと。
「…か、わ」
(可愛い…)
頭を抱えるほどの“美”少年である。
訳の分からぬ状況を整理すべきはずの頭が、たちまち彼のルックス問題で一杯になった。
(どうしよう…)
どうするもこうするもない、本来ならば。
「…“かわいい”?」
「あっ、え、っと」
「よく言われるけど。いい気しねーよ」
「…あ…」
「ほら、あんたも早く着替えな」
「う、うん…」
彼は寝起きとは思えないほど完成度の高いすっぴんでフッと笑い、足早に部屋を出ていった。
私は暫く、彼の出て行った扉を見つめていたが
数秒後、我に返った。