エリート外科医の蕩ける治療
困っているのは私なので、清島さんが困ることではないと思うのだけど。それとも、お医者さんでも手の施しようがないひどい状態なのだろうか。
「それを思い悩んでいるから、合コンでも自分を犠牲にしているっていうこと?」
「まあ、良く言えばそうなりますけど、ただの偽善者なので褒められたことではありません」
「うん、まあ、……うーん。偽善者とは違うと思うけど。何ていうか……、今までつらかったんだろうなということはわかった」
「先生、何か治療法とかありませんか?」
「そうだな……」
清島さんは眉間に手を当ててしばし考えるように黙る。ないって言われたらどん底に落ちてしまうけれど、一生懸命考えてくれているので、何か方法があると思いたい。
「俺のことも引かないで聞いてほしいんだけど……」
「はい」
清島さんは少し言い淀んでから、おもむろに残っていたビールを一気飲みする。そして再びこちらを向いた。
「君が本当に不感症かどうか、試させてくれないか?」
「え……。試す……試すってその、セッ……ああ、えっと、体の関係を持つというあれですよね? むしろ試してくれるんですか?」
「……君さえよければ」
これが、合コンの彼等みたいなノリとか、からかっている態度だったら決して承諾はしなかっただろう。傷口に塩を塗ることだけは絶対に嫌だからだ。それなのに、清島さんの瞳は真剣そのもので、引き込まれそうになる気持ちにゴクリと息を飲む。
相反する感情が、危うく揺れる。
「……お医者さんとして、ですよね?」
「ああ、医者として症状を把握したい」
それはもう、どう考えても先生と患者で。
だけど話している内容はとんでもなく非常識で。
もしかしたら騙されているかもなんて頭の片隅で考えつつも、自分の欲求には抗えなかった。
だって、ずっとずっと悩んでいたことに対して、今日これから答えが出るかもしれないのだから。
「それを思い悩んでいるから、合コンでも自分を犠牲にしているっていうこと?」
「まあ、良く言えばそうなりますけど、ただの偽善者なので褒められたことではありません」
「うん、まあ、……うーん。偽善者とは違うと思うけど。何ていうか……、今までつらかったんだろうなということはわかった」
「先生、何か治療法とかありませんか?」
「そうだな……」
清島さんは眉間に手を当ててしばし考えるように黙る。ないって言われたらどん底に落ちてしまうけれど、一生懸命考えてくれているので、何か方法があると思いたい。
「俺のことも引かないで聞いてほしいんだけど……」
「はい」
清島さんは少し言い淀んでから、おもむろに残っていたビールを一気飲みする。そして再びこちらを向いた。
「君が本当に不感症かどうか、試させてくれないか?」
「え……。試す……試すってその、セッ……ああ、えっと、体の関係を持つというあれですよね? むしろ試してくれるんですか?」
「……君さえよければ」
これが、合コンの彼等みたいなノリとか、からかっている態度だったら決して承諾はしなかっただろう。傷口に塩を塗ることだけは絶対に嫌だからだ。それなのに、清島さんの瞳は真剣そのもので、引き込まれそうになる気持ちにゴクリと息を飲む。
相反する感情が、危うく揺れる。
「……お医者さんとして、ですよね?」
「ああ、医者として症状を把握したい」
それはもう、どう考えても先生と患者で。
だけど話している内容はとんでもなく非常識で。
もしかしたら騙されているかもなんて頭の片隅で考えつつも、自分の欲求には抗えなかった。
だって、ずっとずっと悩んでいたことに対して、今日これから答えが出るかもしれないのだから。