エリート外科医の蕩ける治療
「杏子、ここに座って」

「えっ! 先生の上に?」

清島さんは自分の膝をぽんぽんと叩く。清島さんの太ももを跨いで座れと言うのだ。そんなの、無理に決まっている。だって私、体重軽くないし。なんなら居酒屋で食べまくったし。

「私、重いので、できません」

「杏子くらい、大した事ないよ」

「さっきご飯いっぱい食べたから絶対重いもん」

「ふっ、何だそれ。それじゃあ俺の診察は終わってしまうけど、それでいいの?」

「うっ……。それは……だめ……」

清島さんは意地悪く笑うと、私を引き寄せて膝に座らせる。急に密着して清島さんの顔が近い。息づかいが聞こえるようで、恥ずかしい。

「顔、真っ赤……」

「ひぃっ」

私は両手で顔を隠し、そのまま清島さんの胸に突っ伏した。だってこんなに男の人に密着したのなんて、何年ぶり……? むしろ初めてのようなそんな気さえしてくる。ドクドクと血液が沸騰しそうなくらいに体が熱くなってくる。

「ほら、可愛い顔、見せて」

「先生……私、もう無理かも。ドキドキしすぎて死にそう……」

「……それは、いい傾向だと思うけどな」

清島さんは私をそのままぎゅうっと包み込むように抱きしめた。優しく背中を撫でてくれる。大きくて温かな手は、背中だけじゃなく脇腹や腕なんかもさわさわと撫でていく。くすぐったいような気持ちがいいような、そんな感覚に身が捩れる。

ムズムズとした気持ちが膨れ上がって、我慢できずに「先生ぇ」と顔を上げた。

「ようやく顔上げてくれた」

髪を梳かれて頬を包まれる。清島さんの大きな手が、私の頬をやわやわと撫でた。心臓が破裂しそうなのに、この先を期待してしまう矛盾した気持ち。清島さんの胸のあたりをぎゅうっと握った。
< 13 / 113 >

この作品をシェア

pagetop