エリート外科医の蕩ける治療
目が覚めると隣には清島さんが寝ていて、お互い裸のまま。どうやらあの淫らな情事は夢ではなかったらしい。すっかり酔いも覚めて、頭はすっきりしている。正常な思考回路が戻ってくると同時に、冷静に物事を見つめることができる。

『先生ぇ、イクッ! イッちゃうからぁ!』

『杏子のここ、すごいことになってる。音、聞こえる?』

わざと聞こえるようにピチャピチャといやらしい音を立てた清島さんの指が秘部を這う。あの音がまだ耳に残っている。

私、濡れたんだ……。
濡れたんだよね?

『お前さあ、不感症なんじゃね? 全然濡れないし反応薄いし、つまんねー』

思い出して胸がきゅっとなってじわっと視界が歪んだ。ちゃんと濡れたし、信じられないほど感じて何度イッてしまったかわからない。しかも、清島さんと最後までシてしまった。

『杏子、()れてみてもいいか?』

『うん、先生のほしい』

ほしいって、何言ってるの私。
思い出しただけで恥ずかしい。

でも、これが不感症なわけないよね?
私、治ってるんだよね?

「ぐすっ」

「杏子、どうした?」

「先生……」

めそめそ泣いている私を見て、清島さんが焦ったように起き上がった。

「ごめん、やっぱり嫌だった?」

「違うんです。濡れました。私、濡れましたよね?」

清島さんの腕をガシッと掴む。私のあまりの剣幕に驚いたのか、清島さんはごくっと息をのんだ。一呼吸置いてから、「あ〜」と手で口元を覆う。

「そうだな。ぐしょぐしょだった」

「先生の魔法? 先生は名医なの? 私、治ってるってことですよね?」

「ああ、まあ。……いや、どうだろうな? 一回だけじゃ完治したかはわからないだろう? 濡れてよかったとは思うけど」

「確かにそうかも……」

今回は先生が上手くオキシトシン(だったっけ?)を引き出してくれたのかもしれない。だからきっとオキシトシンがちゃんと機能するようにリハビリをしなくちゃいけないんだ。

そういうことですよね、先生?

「あの、よかったらまた治療してもらえませんか?」

私の言葉に、清島さんはぽかんとした。冗談だと思われているのかもしれない。でも私は真剣だ。
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