エリート外科医の蕩ける治療
温かいお湯がちゃぽんと波打つ。湿り気を帯びた水蒸気が、バスルームを埋め尽くし、「先生」と発した言葉が浴室内に響く。

……どうしてこうなった。

前と同じようにラブホに来て、でも仕事終わりだからお風呂に入りたいってなって、だったら一緒に入ろうって清島さんが入ってきて――

今はバスタブの中で清島さんに後ろから抱きしめられている状態。お腹と胸の下に腕を回されて、ぎゅって……。

「お団子にしてるのも可愛いけど、下ろしてるのもいいな」

「えっ、あっ、髪ですか?」

「うん。綺麗な髪」

清島さんは私の髪を掬うように片方に寄せると、あらわになった首筋へキスを落とす。

「ふあっ」

ビクリと体が揺れるも、ガッチリとホールドされて身動きが取れない。

「せ、先生、それはダメ」

「どうして?」

「なんか、お腹の奥がじわってする」

「それは良い傾向」

舌が首筋を這う。そのたびにビクビクして、甘ったるい声が出た。浴室内に響く自分の声が鼓膜を刺激する。ふいにお尻のあたりに硬いものが当たって、思考が現実に戻された。

「先生、もしかして……」

「うん? 杏子が可愛いおかげで俺もいけそうな気がする」

「イク?」

「そういう意味じゃないよ。できるって意味の」

清島さんはちょっと前の私と同じことを言って、くすくすと笑った。心臓が張り裂けそうなくらい、ドキドキしている。私、今回も先生と最後までできるかも。お風呂の中じゃよくわからないけど、どうか濡れてください、私のお股。

なーんてことを考えていると、顎をくいっと寄せられ、そのまま唇がカプッと食べられた。息ができないくらいに濃厚で、甘い。

「んっ」

体の力が抜けていくみたい。いつの間にか清島さんにもたれ掛かるように、体を預けていた。もう、キスで溺れそう。体の奥がじんじんする。
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