エリート外科医の蕩ける治療
お昼もだいぶ過ぎた頃、佐々木先生が一人でやってきた。この時間だと今日も忙しかったに違いないのだけど、佐々木先生は疲れを微塵も感じさせない爽やかな笑顔で「杏子ちゃん」と笑った。
「いらっしゃいませ」
「日替わり弁当で」
「はーい」
「ねえ、杏子ちゃん。体の具合はどう?」
体の具合? って、あれか。清島先生が主治医だって前に伝えたから、佐々木先生は私のことどこか具合が悪い患者だと思っているんだった。でも具合がどうかと言われれば、アレに関しては完治はしたわけで……。
「えっと、もうすっかりよくなりましたよ」
「よかったー。じゃあさ、映画のチケットあるんだけど一緒に行かない? 飲みじゃないからドクターストップは出ないだろ?」
佐々木先生は眩しいくらいに爽やかに微笑む。
確かに私はもう完治していて、桜子さんのように新しい一歩も踏み出したいと思っていた。それが佐々木先生とどうこうなりたいとかではなくて、ちょっとはそういう気持ちで出かけてみるのも悪くないかもしれない。
それに、清島さんには桜子さんって恋人がいるし、私が清島さんにこだわる必要はないのだ。むしろこだわってしまったら二人に申し訳ないし。
「わかりました。映画行きます」
「ほんと? 誘っても誰も一緒に行ってくれないからさ、寂しかったんだよね」
「えー、それは噓でしょ。佐々木先生が誘えば誰だってついていきますよ」
「ないない。俺は一真みたいにモテない」
「嘘ばっかり。清島先生もモテるけど、佐々木先生もモテモテですよ。昨日も先生の診察を受けた親子が、佐々木先生かっこいいって言ってましたもん」
「ありがたいけど、年齢層そこ?」
「ちなみに清島先生は年配の女性患者さんにモテモテ」
「あはは!」
佐々木先生は眩しいくらいの笑顔で楽しそうに笑う。こういうところがきっと子どもたちに人気なんだろうなあなんて、ぼんやりと思った。優しいし、嫌みがないんだよね、佐々木先生って。
「今度の日曜日は?」
「空いてます」
「じゃあ決まりな」
ニッと笑う佐々木先生はやっぱり爽やかで、佐々木先生のお誘いを断っちゃう人ってどんな人だろうなんて、どうでもいいことを考えていた。
「いらっしゃいませ」
「日替わり弁当で」
「はーい」
「ねえ、杏子ちゃん。体の具合はどう?」
体の具合? って、あれか。清島先生が主治医だって前に伝えたから、佐々木先生は私のことどこか具合が悪い患者だと思っているんだった。でも具合がどうかと言われれば、アレに関しては完治はしたわけで……。
「えっと、もうすっかりよくなりましたよ」
「よかったー。じゃあさ、映画のチケットあるんだけど一緒に行かない? 飲みじゃないからドクターストップは出ないだろ?」
佐々木先生は眩しいくらいに爽やかに微笑む。
確かに私はもう完治していて、桜子さんのように新しい一歩も踏み出したいと思っていた。それが佐々木先生とどうこうなりたいとかではなくて、ちょっとはそういう気持ちで出かけてみるのも悪くないかもしれない。
それに、清島さんには桜子さんって恋人がいるし、私が清島さんにこだわる必要はないのだ。むしろこだわってしまったら二人に申し訳ないし。
「わかりました。映画行きます」
「ほんと? 誘っても誰も一緒に行ってくれないからさ、寂しかったんだよね」
「えー、それは噓でしょ。佐々木先生が誘えば誰だってついていきますよ」
「ないない。俺は一真みたいにモテない」
「嘘ばっかり。清島先生もモテるけど、佐々木先生もモテモテですよ。昨日も先生の診察を受けた親子が、佐々木先生かっこいいって言ってましたもん」
「ありがたいけど、年齢層そこ?」
「ちなみに清島先生は年配の女性患者さんにモテモテ」
「あはは!」
佐々木先生は眩しいくらいの笑顔で楽しそうに笑う。こういうところがきっと子どもたちに人気なんだろうなあなんて、ぼんやりと思った。優しいし、嫌みがないんだよね、佐々木先生って。
「今度の日曜日は?」
「空いてます」
「じゃあ決まりな」
ニッと笑う佐々木先生はやっぱり爽やかで、佐々木先生のお誘いを断っちゃう人ってどんな人だろうなんて、どうでもいいことを考えていた。