エリート外科医の蕩ける治療
「ねえ、もし一真が杏子ちゃんに告白したら、杏子ちゃんは付き合うの?」

「それは……。でも清島先生は結婚するし」

「結婚? 誰と?」

「桜子さんです」

口に出したらズキッと胸が痛んだ。なんかだんだんとわかってきた。この胸の痛みは更年期なんかじゃなくて、私が清島さんと桜子さんの結婚をよく思ってないから。だからいつもモヤモヤとしてしまうんだ。

佐々木先生は手を顎に当てて納得したようにうんうんと頷く。私は胸の痛みをごまかすように「お似合いですよね」とヘラっと笑った。

「あー、それで桜子ちゃんねぇ。あの子は一真のことが好きかもしれないけど、一真は違うだろ?」

「でも桜子さんと桜子さんのお父さんと清島先生がディナーして、それで結婚の話進めるって」

「うん? なんか話がごちゃごちゃしてない?」

「あ、えっと、日本語が難しい」

清島さんは理事長先生に気に入られてて、桜子さんは理事長先生の娘さんで清島先生を結婚相手に勧められてて、桜子さんは清島先生と仲良くなろうとしてて……。うん、私の頭の中ごちゃごちゃしてる。

「まあ、たとえ一真に結婚の話が出たとしてもだ、一真がいいって言わなきゃ成立しないだろ」

「清島先生はいいって言うんじゃないですか?」

「どうしてそう思うの?」

「だって桜子さんとお似合いだし、桜子さんのお父さんってこの病院の理事長なんですよね? それで清島先生はエリートで、この病院を継がせたいって……」

「それは一真が言ったの? 桜子ちゃんが言ったの?」

「えと、桜子さんが……」

「じゃあさ、一真は桜子ちゃんに譲るか? 諦められるの?」

「諦めるも何も、私は別に……」

また胸が掴まれるように苦しくなる。思わず胸の辺りをぎゅっと握った。考えると苦しくて息が詰まりそうになる。だってこんな気持ちはまるで私が清島さんのこと……。
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