心とりかえっこ
最悪の第一印象

「泣いてる?」

純粋無垢そうな顔をして、アイツが言った。

「たかがペットのインコが死んだだけで泣いたの?」

私の涙を見てせせら笑うように、私から溢れるものを指さしながら口角を上げる。

それがアイツと私の、初めての接点だった。



ある日、学校からの帰り道。
お母さんからメールが来る。
目を通して、愕然とした。
どうやら私が生まれた時から飼っていたインコの〝ぴ助〟が死んだらしい。

「なんで……」

朝は元気だったのに。
分かれて、まだ8時間くらいしか経っていないのに。
生まれた時から一緒にいたのに、離れ離れになった8時間の間に去ってしまった。こんなことなら今日学校へなんか行かなかったのに。

「うぅ……」

通学路には誰もいない。
いや、誰もいない道をわざわざ選んだのだ。
泣いていることが誰にもバレませんようにと祈りながら。バレたら「あの沙織が泣いているー」とからかわれるから。

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