心とりかえっこ
心をとりかえたとしても、私たちは
その翌日。教室の中は、少し騒がしくなっていた。
理由は「体育があるから時計を外して教室に置いたけど、更衣室から帰って来たらなくなっていた」と谷崎くんが主張したからだ。突然の事実に、皆は近くにいた子たちと一斉に憶測を話し始める。
「なくなったのは昨日なんだろ?なんで昨日いわなかったんだよ」
「もし俺の勘違いだったらいけないと思って、昨日学校や教室、家に帰ってずっと探していた。それでもなかったから、やっぱり今日みんなに言おうと思ったんだ」
間違えてカバンの中やポケットの中に入ったかもしれないし、と声のトーンを落とした谷崎くん。
「間違えて」なんて言葉を使っているけれど、その実「誰も盗ってないだろうな?」という心の声がありありと聞こえて来る。クラスの皆も感じ取っているのだろう。「俺は知らない」や「私も見てない」など、それぞれが自身の身の潔白を証明し始めた。
こうなってくると不利になってくるのが、今この場にいない人だ。一斉に、皆の目が一限目が終わっても空席の佐々木くんへ移る。鋭い視線の数々に、木製の机に穴が開きそうだ。
皆から漏れ出ているトゲトゲした感情が、斜め後ろの私席のまで流れて来た。反射的に、キュッと身を縮める。心の中で「最悪な流れになりませんように」と祈る。
理由は「体育があるから時計を外して教室に置いたけど、更衣室から帰って来たらなくなっていた」と谷崎くんが主張したからだ。突然の事実に、皆は近くにいた子たちと一斉に憶測を話し始める。
「なくなったのは昨日なんだろ?なんで昨日いわなかったんだよ」
「もし俺の勘違いだったらいけないと思って、昨日学校や教室、家に帰ってずっと探していた。それでもなかったから、やっぱり今日みんなに言おうと思ったんだ」
間違えてカバンの中やポケットの中に入ったかもしれないし、と声のトーンを落とした谷崎くん。
「間違えて」なんて言葉を使っているけれど、その実「誰も盗ってないだろうな?」という心の声がありありと聞こえて来る。クラスの皆も感じ取っているのだろう。「俺は知らない」や「私も見てない」など、それぞれが自身の身の潔白を証明し始めた。
こうなってくると不利になってくるのが、今この場にいない人だ。一斉に、皆の目が一限目が終わっても空席の佐々木くんへ移る。鋭い視線の数々に、木製の机に穴が開きそうだ。
皆から漏れ出ているトゲトゲした感情が、斜め後ろの私席のまで流れて来た。反射的に、キュッと身を縮める。心の中で「最悪な流れになりませんように」と祈る。