【短】人身売買のオークション会場で消えた恋人を高値で買った。sideノア
「私の名前はオフィーリアっていうの」
僕をまっすぐと見つめるルビーの瞳。
また僕をまっすぐ見つめて嘘をつくのか。
「…オフィーリア。それが君の本当の名前なの?エラ」
エラにそう問いかければ、エラはほんの一瞬だけ左側を見て「うん」と短く返事をした。
彼女には昔から嘘をつく時にだけやる癖があった。
ずっと彼女だけを見てきたからこそそんな小さな癖でさえも僕は知っていた。
「そう。僕のエラはね、嘘をつく時に一瞬だけだけど左側を見るんだ。今見ていたでしょ?」
「…」
エラに僕は微笑む。
優しく笑っているつもりだが、もしかしたら僕の苛立ちがエラに伝わってしまったのかもしれない。
エラは笑顔だが、どこか緊張した趣でこちらを見ていた。