【短】人身売買のオークション会場で消えた恋人を高値で買った。sideノア
「…嘘なんだね」
どうしてエラは嘘をつくのだろうか。
そんなに僕から逃げたいのだろうか。
だから恋人であるエラではないと主張するのだろうか。
早く自分こそが僕の恋人のエラだと認めさせようと微笑んでみたが、エラは予想外のことを口にした。
「…そうだよ。本当はクロエっていうの」
不自然な笑顔をエラがこちらに向ける。
もう誰が見ても嘘をついているとわかる表情だ。
「…」
一瞬で自分から表情が消え去りそうになったが、それを我慢して僕は笑みを深めた。
僕は彼女の王子様なのだから。
王子様は優しく微笑むものだろう?
オークション会場を出た先に僕を待っていた馬車が現れる。
僕の周りにいた護衛の1人がその馬車の扉を開けた。
そして僕はそのまま乱暴にエラをその馬車の中に押し入れた。
「エラ。君の嘘にはもう騙されないよ。さっきも言ったけど僕は君を買ったんだ。君はもう僕のものだからね。それだけはちゃんと自覚して」