偽装婚約しませんか!?
頭の心配をしていると、ローレンスは居心地が悪そうに視線をさまよわせた。
「要するに、だな。君を手放したくなくなった」
「…………どうしましょう。わたくし、とうとう幻聴が聞こえてきました。悪い風邪をひいたのかもしれません。殿下に移す前に急いでお暇しますね」
体調不良に気づけずお茶会に出席した挙げ句、ローレンスに風邪まで移してしまっては申し訳が立たない。彼も本調子ではなさそうだし、一刻も早く自室にこもって体を休まねば。
ヴィオラはテーブルに手をついて立ち上がる。淑女の礼を取り、さっと身を翻してドアを目指す。
だがドアの取っ手をつかむ直前、ガタンと椅子が倒れる音がした。驚いて振り返ると、すぐに焦りに満ちた声が飛んできた。
「ヴィオラ、待ってくれ! 俺の渾身の告白を、空耳と一緒にしないでくれ。……頼む」
後半の、切実な響きに目を見張る。
金色の眉は下がり、アイスブルーの瞳は潤んで今にも泣き出す寸前だった。
そんなバカな。貧乏子爵令嬢が成人間近の王子を泣かせるなど、前代未聞の悪行ではないか。ヴィオラの混乱は頂点に達した。
「え? まさか、幻聴じゃ……ない、……だと?」
「要するに、だな。君を手放したくなくなった」
「…………どうしましょう。わたくし、とうとう幻聴が聞こえてきました。悪い風邪をひいたのかもしれません。殿下に移す前に急いでお暇しますね」
体調不良に気づけずお茶会に出席した挙げ句、ローレンスに風邪まで移してしまっては申し訳が立たない。彼も本調子ではなさそうだし、一刻も早く自室にこもって体を休まねば。
ヴィオラはテーブルに手をついて立ち上がる。淑女の礼を取り、さっと身を翻してドアを目指す。
だがドアの取っ手をつかむ直前、ガタンと椅子が倒れる音がした。驚いて振り返ると、すぐに焦りに満ちた声が飛んできた。
「ヴィオラ、待ってくれ! 俺の渾身の告白を、空耳と一緒にしないでくれ。……頼む」
後半の、切実な響きに目を見張る。
金色の眉は下がり、アイスブルーの瞳は潤んで今にも泣き出す寸前だった。
そんなバカな。貧乏子爵令嬢が成人間近の王子を泣かせるなど、前代未聞の悪行ではないか。ヴィオラの混乱は頂点に達した。
「え? まさか、幻聴じゃ……ない、……だと?」