偽装婚約しませんか!?
ローレンスは虚を突かれたように目を見開いたかと思えば、徐々に怪訝な顔になっていく。ティーカップを置き、静かな声で問いかけられる。
「君はそれで本当にいいのか?」
「? はい。そういう契約ですので」
「そう、か……」
「今まで過分な待遇を受けたこと、大変ありがたく存じます。殿下と過ごす毎日はわたくしの幸せでした。よき伴侶を迎えられ、今後の殿下の日々が穏やかなものとなりますようにお祈りしております」
退室の挨拶を済ませて腰を浮かせたところで、ローレンスが声を張り上げた。
「すまないが、予定が変わった。婚約破棄はしない。よって、今日からは本物の婚約者としてお願いしたい」
「んんん……?」
意味がわからず、とりあえず着席する。
頬に手を当てながら、先ほどの言葉を反芻する。
ヴィオラの予想では「ああ。今まで世話になったな。君も元気で」と言われるはずだった。なのに、なぜ。どこを間違えてしまったのか。
彼にヴィオラを引き留める理由なんてない。ひょっとして、サロンに来る前にローレンスは頭でもぶつけてしまったのだろうか。
「君はそれで本当にいいのか?」
「? はい。そういう契約ですので」
「そう、か……」
「今まで過分な待遇を受けたこと、大変ありがたく存じます。殿下と過ごす毎日はわたくしの幸せでした。よき伴侶を迎えられ、今後の殿下の日々が穏やかなものとなりますようにお祈りしております」
退室の挨拶を済ませて腰を浮かせたところで、ローレンスが声を張り上げた。
「すまないが、予定が変わった。婚約破棄はしない。よって、今日からは本物の婚約者としてお願いしたい」
「んんん……?」
意味がわからず、とりあえず着席する。
頬に手を当てながら、先ほどの言葉を反芻する。
ヴィオラの予想では「ああ。今まで世話になったな。君も元気で」と言われるはずだった。なのに、なぜ。どこを間違えてしまったのか。
彼にヴィオラを引き留める理由なんてない。ひょっとして、サロンに来る前にローレンスは頭でもぶつけてしまったのだろうか。