偽装婚約しませんか!?
「……女王や女神に喩えられるほどの美貌を持ち合わせていながら、自分と見劣りしない美しい少年や青年を侍らす趣味がおありのようですからね。世の中にはさまざまな趣味嗜好の持ち主がいるとはいえ、十歳から見せた性癖が特殊すぎて私でも引きます。傍から見れば美男美女カップルですけれど、性格不一致では全力回避が無難ですね」
「…………。それでも帝国から圧力があれば、国王は息子を差し出すしかない」
「ローレンス殿下、お心を強くお持ちください。あなたを助けてくれる令嬢はどこかにいるはずです。そうですね。たとえば、親が勧めてくる婚約話に辟易している令嬢とか」
「そんな奇特な娘がいれば、これほど思い悩んでなどいない。貴族令嬢は遅くとも入学前には婚約者がいるのが普通だ。もう絶望的だ…………」
悲壮感を滲ませたローレンスは頭を抱えてうなだれる。それきり二人とも口を噤ったまま、会話が途切れる。
なんとも重苦しい空気が漂う。たまらず、ヴィオラは草陰からざっと立ち上がった。
「でしたら、わたくしがその婚約者役に立候補いたします!」
「なっ!?」
「君は一体……」
「…………。それでも帝国から圧力があれば、国王は息子を差し出すしかない」
「ローレンス殿下、お心を強くお持ちください。あなたを助けてくれる令嬢はどこかにいるはずです。そうですね。たとえば、親が勧めてくる婚約話に辟易している令嬢とか」
「そんな奇特な娘がいれば、これほど思い悩んでなどいない。貴族令嬢は遅くとも入学前には婚約者がいるのが普通だ。もう絶望的だ…………」
悲壮感を滲ませたローレンスは頭を抱えてうなだれる。それきり二人とも口を噤ったまま、会話が途切れる。
なんとも重苦しい空気が漂う。たまらず、ヴィオラは草陰からざっと立ち上がった。
「でしたら、わたくしがその婚約者役に立候補いたします!」
「なっ!?」
「君は一体……」