偽装婚約しませんか!?
ヴィオラは息を大きく吸い込み、胸に手を当て自分を売り込んだ。
「偽装婚約しませんか!?」
「…………」
「……やはり、急にこんなことを言われても信用できませんよね。すみません、今のはすべて聞かなかったことにしてください」
しおらしく目を伏せる。王子のあまりにも不憫な事情に勢い余って申し出てしまったが、入学早々の不敬罪は勘弁願いたい。家族に知られたら泡を吹いて倒れかねない。
話をなかったことにして早々に立ち去ろう。大丈夫、走るのは得意だ。だてに領地で牧羊犬とともにヒツジを追いかけ回していない。
逃げの心構えをしていると、咳払いが聞こえてきた。
「俺にはもう他に頼る術がない。その提案を受け入れよう。本日から君は俺の婚約者であり、共犯者だ。よろしく頼むよ、婚約者殿」
「えっ、よろしいのですか!? ありがとうございます!」
ヴィオラが両手を組んで感謝を表すと、ああ、と頷きが返ってくる。
「ただ、婚約破棄すれば君に瑕疵がつくのは避けられない。だから、それ相応の報酬を払おう。君は見返りに何を望む?」
「……み、見返り……?」
「偽装婚約しませんか!?」
「…………」
「……やはり、急にこんなことを言われても信用できませんよね。すみません、今のはすべて聞かなかったことにしてください」
しおらしく目を伏せる。王子のあまりにも不憫な事情に勢い余って申し出てしまったが、入学早々の不敬罪は勘弁願いたい。家族に知られたら泡を吹いて倒れかねない。
話をなかったことにして早々に立ち去ろう。大丈夫、走るのは得意だ。だてに領地で牧羊犬とともにヒツジを追いかけ回していない。
逃げの心構えをしていると、咳払いが聞こえてきた。
「俺にはもう他に頼る術がない。その提案を受け入れよう。本日から君は俺の婚約者であり、共犯者だ。よろしく頼むよ、婚約者殿」
「えっ、よろしいのですか!? ありがとうございます!」
ヴィオラが両手を組んで感謝を表すと、ああ、と頷きが返ってくる。
「ただ、婚約破棄すれば君に瑕疵がつくのは避けられない。だから、それ相応の報酬を払おう。君は見返りに何を望む?」
「……み、見返り……?」