新選組に拾われました☆
人間
夜が明ける頃、戦の痕跡が残る屯所には静寂が戻っていた。
六花は、沖田の部屋の隅でじっと丸まっていた。
「……六花?」
沖田が布団の中から顔を覗かせる。
昨夜の戦いで受けた傷は、まだ完全に癒えてはいないはずだ。
「にゃ……」
六花は小さく鳴いて、沖田の手元へ近づいた。
すると沖田は、少し眠たげな目をしながら六花の頭を撫でる。
「六花、君って本当に不思議な猫だねぇ。」
沖田は微笑んだが、その指先がふと止まる。
「……?」
六花の体が、突然熱を帯び始めたのだ。
じわじわと、体の中から何かが湧き上がるような感覚。
「……にゃ……?」
まるで何かに引っ張られるように、六花の視界が揺れた。
全身が痺れるような感覚に包まれ、次の瞬間――
眩しい光が、部屋の中を満たした。
「っ!?」
沖田が驚いて身を起こす。
六花の小さな黒猫の体が、光の中で徐々に形を変えていく。
――四本足が二本になり、
――ふわふわの尻尾が長く伸び、
――柔らかな黒い毛並みは、肌へと変わり、
そこに現れたのは、一人の少女だった。
琥珀色の瞳を持つ、黒髪の少女。
頭には、猫のような耳がぴくりと動いていた。
そして背中からは、黒猫のような尻尾がふわりと揺れる。
「……え?」
沖田は目を丸くして、思わず後ずさった。
「……にゃ?」
六花――いや、六花だった少女は、自分の手を見つめる。
小さな肉球はなくなり、細くてしなやかな指先に変わっていた。
戸惑いながら自分の体を確認し、ふと鏡を覗き込む。
そこに映っていたのは、見知らぬ少女の姿。
「……?」
「……六花?」
沖田が、おそるおそる声をかける。
「……えっと、うん。六花。」
少女の声は、澄んだ鈴の音のように響いた。
「な、なんで君が人間になってるの……?」
「わかんない。」
六花は首を傾げる。
「でも……君のこと、もっと近くで見たかったから?」
そう呟いた時、彼女の耳がぴくりと動いた。
沖田はしばらく呆然としていたが、やがてくすりと笑った。
「ふぅん……ま、面白いからいっか。」
「……え? いいの?」
「うん。六花は六花でしょ?」
沖田は悪戯っぽく微笑むと、六花の頭をくしゃっと撫でた。
「ようこそ、新しい六花。」
六花は少し驚いたが、すぐに笑った。
こうして、黒猫だった六花は、人の姿を手に入れた。
そして、新たな物語が始まる――。
六花は、沖田の部屋の隅でじっと丸まっていた。
「……六花?」
沖田が布団の中から顔を覗かせる。
昨夜の戦いで受けた傷は、まだ完全に癒えてはいないはずだ。
「にゃ……」
六花は小さく鳴いて、沖田の手元へ近づいた。
すると沖田は、少し眠たげな目をしながら六花の頭を撫でる。
「六花、君って本当に不思議な猫だねぇ。」
沖田は微笑んだが、その指先がふと止まる。
「……?」
六花の体が、突然熱を帯び始めたのだ。
じわじわと、体の中から何かが湧き上がるような感覚。
「……にゃ……?」
まるで何かに引っ張られるように、六花の視界が揺れた。
全身が痺れるような感覚に包まれ、次の瞬間――
眩しい光が、部屋の中を満たした。
「っ!?」
沖田が驚いて身を起こす。
六花の小さな黒猫の体が、光の中で徐々に形を変えていく。
――四本足が二本になり、
――ふわふわの尻尾が長く伸び、
――柔らかな黒い毛並みは、肌へと変わり、
そこに現れたのは、一人の少女だった。
琥珀色の瞳を持つ、黒髪の少女。
頭には、猫のような耳がぴくりと動いていた。
そして背中からは、黒猫のような尻尾がふわりと揺れる。
「……え?」
沖田は目を丸くして、思わず後ずさった。
「……にゃ?」
六花――いや、六花だった少女は、自分の手を見つめる。
小さな肉球はなくなり、細くてしなやかな指先に変わっていた。
戸惑いながら自分の体を確認し、ふと鏡を覗き込む。
そこに映っていたのは、見知らぬ少女の姿。
「……?」
「……六花?」
沖田が、おそるおそる声をかける。
「……えっと、うん。六花。」
少女の声は、澄んだ鈴の音のように響いた。
「な、なんで君が人間になってるの……?」
「わかんない。」
六花は首を傾げる。
「でも……君のこと、もっと近くで見たかったから?」
そう呟いた時、彼女の耳がぴくりと動いた。
沖田はしばらく呆然としていたが、やがてくすりと笑った。
「ふぅん……ま、面白いからいっか。」
「……え? いいの?」
「うん。六花は六花でしょ?」
沖田は悪戯っぽく微笑むと、六花の頭をくしゃっと撫でた。
「ようこそ、新しい六花。」
六花は少し驚いたが、すぐに笑った。
こうして、黒猫だった六花は、人の姿を手に入れた。
そして、新たな物語が始まる――。