苦手な同僚が同担だった件について。


 確かにベランダに出ると露天風呂がある。これもエルナイが泊まっていた部屋と同じだ。
 本当に同じタイプの部屋を予約してくれていたんだな。


「――一緒に入ろうね」
「っ!」


 耳元で囁かれ、一気に頬が熱くなる。
 そうだ、頭の中がエルナイで一色になっていたけど今日は……一晩中ずっと竜矢くんと一緒なんだ。

 今更ながらにそのことを自覚し、体が熱ってしまう。
 自分だってそのことを覚悟して来たはずなのに。


「かける、ちょっと散歩しようよ」
「えっ。あ、そうだねっ」
「実は動画見返して二人の散歩コース調べてきたんだ」


 子どもみたいにワクワクした瞳をしながら、竜矢くんはスマホのメモを見せる。
 そこには動画で桂馬と香が食べ歩きやぶらりと散歩していたコースが書き込まれている。


「すごい! 全部行きたい」
「な! 行こう!」


 私たちは早速エルナイの箱根旅コースを満喫することにした。
 初めての旅行でさえもエルナイを絡めてしまうところがヲタク丸出しだなと思うけれど、これが私たちだなとも思う。
 何よりすごく楽しいのだから、これでいい。

 私たちが訪れた箱根湯本は都内からのアクセスも良く、日帰りでも楽しめる。
 美味しいものがたくさんあるし、温泉街をぶらぶら歩くだけでも楽しい。
 食欲旺盛な桂馬と香が歩くと、大抵食べ歩きになっているのがまた面白い。

 夕食があるので行きたいお店をいくつか絞り、食べるものは最低限に留めた。

< 119 / 140 >

この作品をシェア

pagetop