苦手な同僚が同担だった件について。


 きっぱりとそう答えると、乃華さんは「そうですよね」と笑った。
 その瞳からは一筋の涙が頬を伝っていた。


「私は、どうしてそんな風に信じてあげられなかったんだろう……」


 *


 その後、乃華さんと別れた。
 鉢合わせたら気まずいと思うので、彼氏に頼んで夕食の時間をずらしてもらうと言っていた。

 本当に竜矢くんに会わなくていいのかと尋ねたけれど、首を横に振った。


「彼氏にも悪いし、竜矢も私と顔を合わせたくもないでしょうから大丈夫です。角田さんも元カノなんかと話したくなかったでしょうに、ありがとうございました」


 乃華さんは丁寧にお辞儀をしてから去っていった。
 改めて間違ったことをしてしまったけれど、いい子なんだろうなぁと思った。

 そんな風に彼女の背中を見送ってから、私も戻る。
 男湯の暖簾の前で竜矢くんが待っていた。


「かける、どこ行ってたの?」
「えっと、喉が乾いたから水を飲んでたの」
「なんだ、そっか。夕飯の時間だしこのまま行こう」
「うん」


 大浴場から食事をする宴会場まで短い距離だったけど、手を繋ぎたくて竜矢くんの指に自分の指を絡ませた。
 きゅっと握り返してくれたことが嬉しかった。

 もっと触れたい、触れて欲しいと思った。
 私ったら、何を考えているんだろう。これから夕飯だというのに……。

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