苦手な同僚が同担だった件について。
料理はどれも美味しかったけれど、お腹いっぱいで苦しい。
部屋に戻って少しのんびりすることになった。
「はい、お茶煎れたよ」
「ありがとう」
竜矢くんはあれから普通だ。
乃華さんがこの旅館に泊まっていることも気づいていない。
本人も竜矢くんと話すことは望んでいなかったし、黙っていた方がいいのかなと思う。
だけど、それはなんだか私が気持ち悪かった。
「竜矢くん、さっきお風呂から上がった後ね、本当は乃華さんと話してたの」
「えっ……、どういうこと?」
「偶然乃華さんもこの旅館に泊まってるんだって」
「えっ!?」
竜矢くんは驚いたように目を丸くする。
「なんで、かけると?」
「多分乃華さん、竜矢くんを傷つけたことずっと後悔してたんだと思う。直接は気まずいから、私に声をかけたんじゃないかな」
「それもなんか気まずい気もするけど」
「でも、私は乃華さんと話せて良かったと思ってるよ」
真っ直ぐ竜矢くんの目を見て言った。
「私、竜矢くんが好き。竜矢くんが私のこと想ってくれているのも、ちゃんと伝わってるからね」
「かける……」
「あんなに桂馬を一途に推してる人が、一途じゃないわけないもんね」
「……っ」
竜矢くんは長い両手を伸ばしてぎゅうっと私を抱きしめる。
すぐに私も彼の背中に手を回し、抱きしめ返す。
「ありがとう、かける……」