苦手な同僚が同担だった件について。


「キャーーーー!」という黄色い悲鳴が轟く中、私は静かに涙を流していた。

 違うよ、この場所に立てたのは二人の努力があってこそだよ。
 桂馬と香がこれからもL.knightsとして歌い続けてくれることが私たちにとっての幸せなんだから。
 こちらこそいつもありがとうと言いたいのに。

 横を見ると、隣で竜矢くんも涙を流していた。
 お互いに目が合って、また涙が溢れて訳が分からないくらいに泣いた。


「めちゃくちゃよかった……」
「うん、最高だった……」


 ドームを出てからもまだ興奮が冷めやらない。
 だけど、それを表現する語彙力はなく、二人とも放心状態だった。

 どうやって帰ったか覚えていないが、人の流れに乗って何となく駅に辿り着き、気づいたら電車に揺られていた。
 そして気づいたら竜矢くんの自宅に着いていたのだから不思議だ。


「やばかったね……」
「やばかった」


 相変わらず語彙力はないけど、家に着いて少し落ち着いたのかぽつりぽつりとこれまでの記憶が蘇る。
 時間を置いてからの方が記憶がフラッシュバックする。
 それからは止まらなかった。まるで水がダムに溜まっていくかのように、話したいことがどんどん募っていく。

 私は基本的に桂馬しか見ていない、静奈は香しか見ていないから話が嚙み合わないことが多々あるけれど、お互いに桂馬しか見ていないからとにかく話が途切れなかった。
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