苦手な同僚が同担だった件について。
これは社交辞令でなく本当だ。本当に楽しかった。
「男性ファンとお話する機会は貴重でした」
「俺もずっとエルナイを語れる友人が欲しいと思ってたんだ。その、カレー屋も楽しみにしてる」
「はい」
「それじゃあまた会社で!」
飛鳥さんは爽やかな笑みを浮かべて颯爽と立ち去っていった。
改めてあの飛鳥さんがエルナイのファンだなんて信じられないな、と思った。
ずっと苦手な人物だと思っていたけれど、今日だけで大きく印象が変わった。
あんなに無邪気に楽しそうに、エルナイと桂馬のことを語ってくれるなんて思っていなかった。
桂馬にファンサをもらったと聞いても嫉妬する気持ちがなかったのは、男性から見ても桂馬が魅力的なアイドルだということが知れて嬉しかったからだ。
自分の好きを誰かと分かち合えることは嬉しい。
カレー屋に行くことも、内心楽しみにしている自分がいた。
* * *
週が明けた水曜日、飛鳥さんとカレー屋に行く日だ。
月曜日になってすぐにスケジュールを確認し、水曜日なら余裕があると飛鳥さんに伝えた。
飛鳥さんも外回りがあるのでちょうどいい、ということで水曜日に決まった。
「お昼休憩いただきます」
「行ってらっしゃい。あれ、今日はお弁当じゃないの?」
天王寺さんが尋ねたのは、私がいつもお弁当用の手提げを持っているからだろう。