苦手な同僚が同担だった件について。


 彼の名は飛鳥竜矢(りゅうや)
 私と同じく半年程前にこのチェスター株式会社に転職してきた。
 中途入社してきたタイミングが同じだったので、一応は同期になる。

 だが正直言って私はこの男が苦手だ。


「たまには一緒に飲もうよ。角田さん、お酒飲まない人?」
「あまり得意ではないですね」
「ウーロン茶でもいいじゃん!」


 そういう問題ではない。


「すみませんが、予定がありますから」
「そっかー。じゃあまたね! また絶対飲もう!」
「はい、ありがとうございます」


 まあ、そんな日は二度とこないだろうけれども。

 背後から飛鳥竜矢を囲う声が聞こえた。


「飛鳥さんも飲み会来られるんですね!」
「もちろん行きますよ〜。今日のモチベはそれですもん」
「私も楽しみにしてます〜!」
「沢井さんお酒強そうだもんね」
「え〜、こう見えてすぐ顔赤くなっちゃうんですよ〜」


 ……ばかばかしい。

 いつもそうだ、飛鳥竜矢の周りは騒々しい。
 大手商社から転職してきた彼は、持ち前のコミュ力であっという間に社内に溶け込んでいた。

 飲み会が大好きらしく、部を超えて様々な飲み会に参加したり幹事を務めたりしている。
 部が違うとなかなか交流がないが、彼が来てから社内の交流が活発になったと天王寺さんが話していた。

 彫りが深い顔立ちは所謂イケメンの部類に入るらしく、「飛鳥さんって彼女いるのかなー」と女性社員たちが話していたのを聞いたことがある。



< 3 / 140 >

この作品をシェア

pagetop