苦手な同僚が同担だった件について。


「いただきます」
「いただきます」


 スプーンで掬って一口運ぶと、柔らかくほぐれたチキンとピリッとしたスパイスがとても美味しい。


「美味しい」
「うん、美味いね! 角田さんは辛いの平気?」
「激辛は苦手ですけど、この程度なら全然平気です」
「そっか。俺にはちょっと辛いな〜」


 そう言って飛鳥さんはガブガブと水を飲む。
 この調子ではすぐになくなってしまうので、店員さんを呼んで水のボトルを置いてもらった。


「ありがとう」
「辛さ調節できたのに」
「せっかくなら桂馬と同じやつ食べたいじゃん」
「確かに」


 改めてこの人、生粋の桂馬推しだなと思う。
 彼の言動の一つ一つがわかりみしかない。


「角田さんってさ」
「はい?」
「食べ方、すごく綺麗だよね」
「えっ」


 誰にも指摘されたことがないことを褒められて驚いてしまった。
 特に意識などしたことはなかった。


「この前のカフェの時もすごく綺麗だなって思って見てた」
「そうですかね? 意識したことないですけど……」


 なんだか気恥ずかしくて視線を合わせないようにしてしまう。


「じゃあ育ちの良さが滲み出ているんだね」
「……」


 この人は絶妙なところを褒めてくるなと思った。
 営業部のエースなのだから、人を褒めることは得意なのだろう。

 この瞬発力は営業マンとしては素直に尊敬する。
 単に慣れているだけかもしれないけれど。

< 30 / 140 >

この作品をシェア

pagetop