苦手な同僚が同担だった件について。


「友人に自分の代わりに香を目に焼き付けてほしいと言われてまして、良かったら行きませんか?」
「えっ!? いいの!?」


 途端に飛鳥さんの瞳がキラキラと輝き出す。
 不覚にもかわいいと思ってしまった。


「同行者を探そうと思っていましたが、知ってる方の方が安心しますし」
「行きたいです! うわあ、ありがとう!」
「席は後ろの方らしいけどいいですか?」
「どこでもいいよ! 行けるだけで嬉しいよ!」


 そんなに喜んでくれるなら、誘って良かったな。
 自分でもこんなことを言い出すとは思っていなかったけれど、チケットは無駄にしたくないし知らない人よりも安心できるというのも本音だ。

 前に同行させてもらった人があまり態度が良くなくて、不快な思いをしたことがある。
 でも飛鳥さんなら一緒に楽しめるだろうと思った。


「角田さん、ありがとう。マジで嬉しい」
「いえ、私も助かりましたから」
「いやいや。俺ずっとエルナイを語れる同志が欲しかったんだ。SNSをやってみようとしたこともあったけど、怖くて」
「怖い?」
「アイドルのファンを装って女性に近づく出会い目的のやつがいるんだって。出会い目的だって誤解されたら嫌だなと思って……」
「ああ……」


 それは静奈から話を聞いたことがある。中には女性を装った男性もいるのだとか。
 それを知ってからSNSで男性と名乗る人とはつながらないようにしていた。
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