苦手な同僚が同担だった件について。
思えば、男性と二人で出かけるなんて何年ぶりだろう。
今の会社に転職してからは初めてだな。
世間ではこれをデートというのだろうが、そんな甘い雰囲気はどこにもない。
そこで急にハタと気づいた。
そもそも飛鳥さんに恋人はいないのだろうか?
もしいるとしたら、流石にこの状況はマズイのでは?
「あの、飛鳥さん」
「ん?」
「急に話を変えてしまうんですけど」
「いいよ」
「飛鳥さんって、お付き合いされてる方はいらっしゃらないんですか?」
「え、いないけど」
まさかの即答だった。
「つーかなんで敬語に戻ってんの?」
「あまり聞かれたくないことかと思って、軽いノリで聞けなくて」
「真面目〜。いいのに、そんなの」
そうか、恋人はいないのか。
でもいたら、そもそも私と推し活したいなんて言わないか。
「角田さんは? って聞いていいやつ?」
「いたら飛鳥さんのこと誘ってませんよ」
「そっか。ごめん、これ先に確認しとくべきだったね。もし恋人がいたら気まずいよね」
「まあでも、大丈夫。当分その予定はないから」
今の私に必要なのはエルナイ。桂馬と香がこれからも二人でエルナイを続けてくれたら、それでいい。
恋愛なんて、私には必要ない。
「当分……か。でもお互いに恋人ができたら、その時はこうやって会うのはやめよう。相手に申し訳ないし」
「それは……そうね」