苦手な同僚が同担だった件について。


 この通り、わかりやすく飛鳥さんを狙っている。
 かわいらしい子うさぎのように振る舞っているけれど、中身は狙った獲物は逃さない肉食獣……なんて言っては失礼だな。


「私はお先に失礼します」


 私もいるのにこちらには挨拶もしない。
 ある意味で清々しいと思うが、面倒なことには巻き込まれたくないのでそそくさと立ち去った。

 飛鳥さんがどう思っているかわからないけど、女の私から見ても戸川さんはかわいいしこんな子に迫られて嫌になるとは思えないし。
 戸川さんが彼女になる可能性は大いにあり得る。

 そうなったら、今の関係は終わるんだな――。


「……何考えてるんだろう」


 まるで終わって欲しくないみたいな。そういう約束でお互い納得したのに。
 ああもう、余計なことを考えるのはやめよう。

 私は切り替えて残りの仕事を片付けることに集中した。


 *


「休憩いただきます」


 やっとひと段落した時にはもう十五時近くなっていた。
 お昼どころかおやつの時間だ。

 これから休憩して戻ったらもう十六時か。
 まだ少し仕事が残っているので、今日は少し残業かもしれない。

 今夜十九時からは歌番組。それまでには帰れるように頑張ろう。
 帰宅したらエルナイの歌声が聴けるのだと思うと、それだけでやる気が湧いてくる。
 やっぱり推しの存在とは偉大なのだ。

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