苦手な同僚が同担だった件について。


 休憩から戻ると、戸川さんに声をかけられた。


「角田さん! 今いいですか? ご相談したいことがあるんですぅ」
「はい、何でしょう……?」


 戸川さんが私に相談したいこと――?


「実は、飼ってる愛犬が具合悪くなったって母から連絡がきて……病院へ連れて行くんですけど、母はペーパーだから運転できなくて私が連れて行かなきゃいけないんですぅ」
「そうなのですか」
「だから定時で上がらせてもらいたいんですけど、歩美の案件、引き継いでもらうことってできますか……?」


 彼女はうるうるした大きな瞳を向けてくる。
 戸川さんが相談なんて何事かと思ったけど、そういうことか。

 本音を言えば断りたい。戸川さんの案件まで引き継いだら十九時に間に合わなくなるかもしれないし――なんて、とてもじゃないけど言えない。


「わかりました」
「本当ですか! ありがとうございますぅ!」
「いえ」


 仕方ない、少しでも早めに終わらせられるように頑張ろう。
 そう思っていたのだが、いざやってみると想像以上に厄介だった。

「難しい案件じゃないので、角田さんなら見ればわかると思います」と言われた。
 しかし実際確認すると、明らかに数字が間違っていた。その確認をするのにかなり手間取っている。

 きちんと聞かなかった私にも落ち度はあるが、それにしても雑すぎではないだろうか?
 戸川さん、普段からこんな感じなの?


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