苦手な同僚が同担だった件について。
気づいた時には side.竜矢
角田かけるの第一印象は、とにかくクールな人。
「本日付けで入社しました、角田かけると申します。よろしくお願いします」
俺と同じタイミングで中途入社してきた、たった一人の同期。
ともなれば仲良くなりたいと思うのは当然なわけで。
「営業部に配属になった飛鳥竜矢です。同期ってことで仲良くしようね、角田さん」
握手を求めたけど、彼女は握り返してはくれなかった。
「失礼ですが、私は誰とも馴れ合うつもりはありません」
面と向かってはっきりそう言われた。
最初はびっくりした。ここまで拒絶されるとは思わなかったから。
角田さんはめちゃくちゃ仕事ができる人だった。
OJTから一ヶ月後には即戦力としてバリバリ働いていた。
俺も何度か案件をお願いしたけど、完璧としか言いようのない美しい資料に呆気に取られた。
指示してない細かいところまで汲み取ってくれたのか、すごいな。
誰とも馴れ合うつもりはないと言ったのは、それだけ仕事に集中したいという意味だったのだろう。
常に淡々としている彼女を苦手に思う人はたくさんいたけど、やっぱり俺はもう少し仲良くなりたいという思いがあった。
恐らく角田さんは営業の経験がある。
現場にいないと想像しにくい細かなところまで理解があるのは、経験者だからじゃないかと考えている。
なんで事務で転職してきたんだろう?