苦手な同僚が同担だった件について。
自分で言うのも難だが、俺は空気を読むのは上手い方だと思う。
実は俺は両親の本当の子どもではない。
実の両親は俺が小学生になる前に交通事故で亡くなった。
俺を引き取ってくれたのは父の弟、つまり叔父夫婦だった。妹は本当は従妹にあたる。
育ての両親はとても優しく良い人たちで、俺のことも実の子同然に可愛がってくれた。
だけど、幼い頃から自分はこの家に「置いてもらっている」という感覚が抜けなかった。
両親にとって良い息子でいなきゃ。
家の手伝いは積極的にして、勉強も頑張ってそこそこ良い大学に入り、大手商社に入社した。
誰が見ても自慢の息子だと思ってもらえるように、常に周囲の顔色を窺ってばかりいた。
そう、この生き方が染み付いてしまった俺は常に人の顔色を窺ってしまう。
どう振る舞うのが正解なのか、どう接すれば人に嫌われないのか。
悪く言ってしまえば八方美人なのだ。
おかげさまで営業という仕事は向いていたが、恋愛はそうでもなかった。
「竜矢って私のこと好きじゃないよね」
今まで付き合った元カノにはみんなそう言われた。
自然と身に付けたコミュニケーション能力で学生時代も社会人になってからも、そこそこモテてきたという自負はある。
告白してもらえたら嬉しいから、それなりに恋愛はしてきた。
だけど、最後は決まってフラれる。