苦手な同僚が同担だった件について。


 たまらなくなり、男から守るように彼女の前に立ち塞がった。


「俺の彼女に何の用ですか?」


 角田さんの肩に腕なんて回したから、彼女は驚いて俺を見上げる。


「彼女……?」
「ああ、今は俺の彼女。ね、かける?」
「ええっ!?」


 俺がとんでもないことを言い出すものだから、角田さんはらしくない声をあげる。
 戸惑う彼女の耳元で囁いた。


「話合わせて」


 すると察してくれたのか、角田さんも話を合わせてくれた。


「どちら様か知らないけど、かけるが嫌がっているのでやめてもらえますか?」
「っ、かけるちゃん……」
「しつこいな。どっか行けって言ってるのがわからない?」
「く……っ!」


 かけるちゃん、かけるちゃんと何度も呼ぶこいつに心底イライラした。
 だから俺もかけると呼んだ。見せつけるように。

 やっと男は諦めたように立ち去った。
 男が見えなくなってから、角田さんは気が抜けたようにその場にへたり込む。
 少し休ませようと近くのベンチに座らせ、レモンサイダーを買ってきて渡した。


「はい」
「ありがとう……」


 俺も隣に座ってレモンサイダーを飲みながら、さっきのことを謝った。


「ごめんね、急に彼女とか言い出して」
「ううん、助かった。ありがとう」
「あの人、もしかしてストーカーだったりする?」


 相当しつこかったし、その可能性は大いにあり得る。
 もし会社や自宅にまで来るようだったらヤバいなと思って尋ねた。


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