苦手な同僚が同担だった件について。


 香のイメージカラーはピンクだから、きっとお色直しのドレスはピンクにするんだろうなぁと想像した。
 静奈のことだから結婚式の曲もエルナイにするかもしれない。そう考えると今から楽しみだった。


「本当におめでとう、静奈!」
《ありがとう、かける》


 電話越しでも照れているのがわかった。
 今度旦那さんを紹介してもらうことを約束して、通話を切った。

 その直後、言いようのない寂しさに包まれる。
 静奈の結婚は嬉しい。この気持ちは嘘ではない。
 だけど置いて行かれてしまったような気持ちになる。

 二十八歳は正に結婚を考える年頃だ。既に子どもがいる同級生もいる。
 それが自然なことなのだと思う。


「……私には桂馬がいるけど」


 彼氏ナシ、結婚の予定もナシ。
 だけど大好きな推しがいる。桂馬がいることが、桂馬の活躍を見ていることが何よりの幸せ。

 それは静奈も同じで、香を応援することが静奈の幸せだった、はずだった。
 でも静奈は結婚という別の幸せを見つけてしまったのだ。


「あーーっ、もう! やめやめ!!」


 辛気臭いことを考えるのはやめよう。
 大好きな親友のお祝い事なんだから喜ばなくちゃ。今からスピーチを考えておかないと。

 私は無理矢理頭を切り替えた。
 幸せなんて人それぞれ。私にとっての幸せは、エルナイを推すこと。

 桂馬が幸せでいてくれることが、私にとっての幸せだから。


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