苦手な同僚が同担だった件について。


 * * *


 翌日、私はいつも通り出勤する。
 胸あたりまである髪は一つに束ね、後れ毛一つない。メイクは最低限でかなり薄い。
 洋服は安物を上手く着回している。手抜きに思われるかもしれないけど、これが私のオフィススタイル。

 私は事務職で社外の人と会うこともないし、適当でいいと思っている。
 そもそも高いコスメや洋服は現場に行く時に使いたいので、普段使いにはもったいない。

 別に私のことなんて誰も気にしないしね。


「あっ! おはよう、角田さん!」
「……飛鳥さん」


 まさか朝から会うなんて。


「おはようございます」
「朝から角田さんに会えるとかラッキー!」


 私はむしろアンラッキーなのだが。


「この後メールで詳細送るんだけど、角田さんに頼みたいことがあるんだ」
「何でしょう」
「クライアントに提出するレポートをまとめて欲しくて」


 仕事の話になったので瞬時に切り替える。


「承知しました」
「悪いんだけど急ぎで……明日までってお願いできますか?」
「大丈夫です」


 明日は特に何もなかったはずだ。
 今日の案件はほぼ終わらせているし、時間としては充分ある。

 詳細はメールを確認しないとわからないが、難しい程でもないだろう。


「ありがとう! よろしくお願いします!」


 飛鳥さんはそう言って自分のデスクに着いた。
 ほんの十分程度でメールが届いた。作成して欲しいレポートの内容が細かく記載されており、抜け漏れもない。


< 9 / 140 >

この作品をシェア

pagetop